「田中将大の全盛期は、一体いつだったのだろうか?」
球史に残る数々の記録を打ち立て、日本だけでなくメジャーリーグの舞台でもファンを魅了した田中将大投手。
その圧倒的なピッチングをリアルタイムで見ていた方も、後からその伝説を耳にした方も、彼のキャリアの頂点について思いを馳せることがあるでしょう。
2025年10月1日の中日戦で田中投手は日米通算200勝を達成しました。
この記事では、2013年の無敗神話をはじめとする具体的な成績データを基に、田中将大投手のキャリアの絶頂期を多角的に分析します。
彼の代名詞であった150km/hを超える球速、安定感抜群のピッチングフォーム、そしてその評価を如実に示す年俸の推移にも触れていきます。
また、「彼の全盛期はもう過ぎたのか?」という疑問にも、現在の投球スタイルと合わせて考察します。
この記事を読めば、あなたが知りたい「田中将大の全盛期」の全てが、数字と事実に基づいて明確になるはずです。
この記事を読むことで、あなたは以下の点について深く理解できます。
- 田中将大投手のキャリアにおける具体的な全盛期の特定
- 24勝0敗という伝説的な記録が生まれた2013年の圧倒的成績
- 全盛期を支えた投球フォームや球速などの技術的背景
- 日米での活躍を反映した年俸の驚異的な推移
圧巻の田中将大、全盛期をデータで振り返る

- 伝説の2013年シーズン無敗記録
- 驚異の防御率1.27を記録
- 沢村賞を2度獲得した圧倒的成績
- MLBでも証明した高い奪三振能力
- 日米通算200勝を達成した軌跡
伝説の2013年シーズン無敗記録
田中将大投手の全盛期を語る上で、2013年シーズンは絶対に外すことができません。
この年、彼はプロ野球史に燦然と輝く「シーズン24勝0敗」という前人未到の記録を打ち立てました。この年の成績は、単に負けなかったというだけではなく、投球内容の全てが他の追随を許さない圧倒的なレベルにありました。
彼の楽天イーグルスでのキャリア全体を振り返ることで、2013年がいかに突出したシーズンであったかがより鮮明になります。
NPB時代 年間詳細成績一覧

年 | 防御率 | 勝 | 敗 | S | 試合 | 完投 | 完封 | 勝率 | 投球回 | 奪三振 | K/9 | BB/9 | WHIP |
2007 | 3.82 | 11 | 7 | 0 | 28 | 4 | 1 | .611 | 186 1/3 | 196 | 9.46 | 3.28 | 1.35 |
2008 | 3.49 | 9 | 7 | 1 | 25 | 5 | 2 | .563 | 172 2/3 | 159 | 8.29 | 2.81 | 1.30 |
2009 | 2.33 | 15 | 6 | 1 | 25 | 6 | 3 | .714 | 189 2/3 | 171 | 8.11 | 2.04 | 1.12 |
2010 | 2.50 | 11 | 6 | 0 | 20 | 8 | 1 | .647 | 155 | 119 | 6.91 | 1.87 | 1.17 |
2011 | 1.27 | 19 | 5 | 0 | 27 | 14 | 6 | .792 | 226 1/3 | 241 | 9.58 | 1.07 | 0.88 |
2012 | 1.87 | 10 | 4 | 0 | 22 | 8 | 3 | .714 | 173 | 169 | 8.79 | 0.99 | 0.98 |
2013 | 1.27 | 24 | 0 | 1 | 28 | 8 | 2 | 1.000 | 212 | 183 | 7.77 | 1.35 | 0.94 |
2021 | 3.01 | 4 | 9 | 0 | 23 | 1 | 0 | .308 | 155 2/3 | 126 | 7.28 | 1.68 | 1.09 |
2022 | 3.31 | 9 | 12 | 0 | 25 | 1 | 1 | .429 | 163 | 126 | 6.95 | 1.66 | 1.17 |
2023 | 4.91 | 7 | 11 | 0 | 24 | 0 | 0 | .389 | 139 1/3 | 81 | 5.23 | 2.45 | 1.40 |
2024 | 7.20 | 0 | 1 | 0 | 1 | 0 | 0 | .000 | 5 | 4 | 7.20 | 1.80 | 1.80 |
2025 | 5.00 | 3 | 4 | 0 | 10 | 0 | 0 | .429 | 45 | 29 | 5.80 | 2.20 | 1.27 |
※注:K/9は9イニングあたりの奪三振数、BB/9は9イニングあたりの与四球数、WHIPは1イニングあたりの与四球・被安打数合計を示す指標です。
この活躍でチームを球団史上初の日本一に導き、田中将大という投手の名を日本中に轟かせたのです。
したがって、多くのファンが彼の全盛期としてこの2013年を挙げるのは、この歴史的な成績が理由と言えるでしょう。
驚異の防御率1.27を記録
田中投手の凄みは、2013年だけの突出したものではありませんでした。特に防御率という指標で見ると、彼の安定した支配力がよく分かります。
2011年シーズンには、キャリアハイとなる防御率1.27を記録しています。
これは東日本大震災の年に記録されたもので、被災地に勇気を与える圧巻の投球でした。
2年後の2013年に再び同じ防御率1.27でシーズンを終えたことは、彼の能力がいかに高い水準で安定していたかを証明しています。
この2つのシーズンがいかに傑出していたか、主要な指標で比較してみましょう。
表:全盛期(2011年 vs 2013年)の成績比較

指標 | 2011年 | 2013年 |
防御率 (ERA) | 1.27 | 1.27 |
勝利 (W) | 19 | 24 |
敗戦 (L) | 5 | 0 |
勝率 (WPCT) | .792 | 1.000 |
投球回 (IP) | 226 1/3 | 212 |
奪三振 (K) | 241 | 183 |
奪三振率 (K/9) | 9.58 | 7.77 |
WHIP | 0.88 | 0.94 |
一般的なエース級の投手でも、防御率2点台で素晴らしいと評価されます。
その中で1点台前半という数字を複数回記録した事実は、彼が相手打線にほとんど点を与えなかったことを意味します。
要するに、田中投手がマウンドにいるだけで、チームに絶大な安心感をもたらしていたということです。
沢村賞を2度獲得した圧倒的成績
プロ野球における先発投手の最高の栄誉、それが「沢村賞」です。田中投手は、この沢村賞を2011年と2013年の2度にわたって受賞しています。
沢村賞には、15勝、150奪三振、防御率2.50以下といった厳しい選考基準が設けられています。
- 2011年: 19勝5敗、防御率1.27、241奪三振
- 2013年: 24勝0敗、防御率1.27、183奪三振
これらの成績は、いずれの年も選考基準を大幅にクリアするものでした。
特に2011年は最多勝、最優秀防御率、最高勝率のタイトルに加え、最多奪三振も記録しており、まさに投手4冠と言える内容です。
沢村賞を2度も獲得したという事実は、彼が単に印象的な活躍をしただけでなく、球界が公式に認める「最高の投手」であったことの揺ぎない証拠と考えられます。
MLBでも証明した高い奪三振能力
田中投手の実力は、日本国内にとどまりませんでした。
2014年にニューヨーク・ヤンキースへ移籍し、世界最高峰の舞台であるメジャーリーグ(MLB)でもその能力を証明します。環境やボール、対戦相手も全く異なるMLBにおいて、彼は7シーズンで78勝を挙げました。
MLB時代 年間詳細成績一覧

年 | 防御率 | 勝 | 敗 | 試合 | 完投 | 完封 | 勝率 | 投球回 | 奪三振 | K/9 | BB/9 | WHIP |
2014 | 2.77 | 13 | 5 | 20 | 3 | 1 | .722 | 136 1/3 | 141 | 9.31 | 1.39 | 1.06 |
2015 | 3.51 | 12 | 7 | 24 | 1 | 0 | .632 | 154 | 139 | 8.12 | 1.58 | 1.01 |
2016 | 3.07 | 14 | 4 | 31 | 0 | 0 | .778 | 199 2/3 | 165 | 7.44 | 1.62 | 1.08 |
2017 | 4.74 | 13 | 12 | 30 | 1 | 1 | .520 | 178 1/3 | 194 | 9.80 | 2.07 | 1.24 |
2018 | 3.75 | 12 | 6 | 27 | 1 | 1 | .667 | 156 | 159 | 9.17 | 2.02 | 1.13 |
2019 | 4.45 | 11 | 9 | 32 | 1 | 1 | .550 | 182 | 149 | 7.37 | 1.98 | 1.24 |
2020 | 3.56 | 3 | 3 | 10 | 0 | 0 | .500 | 48 | 44 | 8.25 | 1.50 | 1.17 |
特に評価されたのが、三振を奪う能力です。
意外にも、9イニングあたりの奪三振数を示す「奪三振率」は、MLB時代の方がNPB時代全体を上回る数値を記録しています。
これは、彼の決め球であるスプリットが、メジャーの強打者たちに対しても極めて有効であったことを示しています。日米両方のリーグでエース級として活躍できたのは、この世界レベルの奪三振能力があったからに他なりません。
日米通算200勝を達成した軌跡
長いキャリアを通じて勝利を積み重ね、田中投手は「日米通算200勝」という金字塔を打ち立てました。これは、ごく一握りの投手しか到達できない偉大な記録です。
NPB・MLBキャリア通算成績の直接比較
指標 | NPB通算 | MLB通算 | 日米通算 |
防御率 (ERA) | 2.73 | 3.74 | 3.10 |
勝利 (W) | 122 | 78 | 200 |
敗戦 (L) | 72 | 46 | 118 |
試合数 (G) | 258 | 174 | 432 |
勝率 (WPCT) | .629 | .629 | .629 |
投球回 (IP) | 1823 | 1054 1/3 | 2877 1/3 |
奪三振 (K) | 1601 | 991 | 2592 |
さらに、短期決戦であるポストシーズンでの強さも彼の価値を高めました。
表:ポストシーズン(大舞台)での成績比較
リーグ | 登板 | 防御率 | 勝 | 敗 | 投球回 | 奪三振 |
NPB (日本シリーズ) | 9 | 1.13 | 6 | 1 | 63.2 | 52 |
MLB (ポストシーズン) | 8 | 3.33 | 5 | 3 | 46.0 | 37 |
このように、レギュラーシーズンだけでなく、負けられない戦いでの勝負強さも兼ね備えていたことが、彼のレガシーをより強固なものにしています。
楽天イーグルスやヤンキースでの田中投手の活躍をもう一度見たいと思いませんか?過去の名シーンや感動の試合は、今でも映像で楽しむことができます。
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田中将大の全盛期を支えた技術とその後

- 全盛期を支えた安定したピッチングフォーム
- 150km/h超えの球速と多彩な変化球
- 実績を反映した年俸の推移を比較
- 全盛期は過ぎた?現在の投球スタイル
- 記録で見る田中将大の全盛期の輝き
全盛期を支えた安定したピッチングフォーム
田中投手の全盛期を支えた根幹には、非常に安定したピッチングフォームがありました。
彼のフォームは、過度な力みがなく、それでいて全身の力を効率よくボールに伝える合理的なものでした。
安定したフォームは、制球力の向上、スタミナの維持といった重要な利点をもたらします。
毎球同じフォームで投げられるため、ボールのばらつきが少なくなり、長いイニングを投げ抜くことを可能にしました。
200イニング以上を投げたシーズンが複数回あることからも、彼のフォームの完成度の高さがうかがえます。そして、決め球であるスプリットの精度も、この安定したフォームがあってこそでした。
150km/h超えの球速と多彩な変化球
田中投手のピッチングは、力と技を高いレベルで両立させていました。全盛期には、常時150km/hを超えるストレートを投げ込み、打者を力で圧倒する場面も多く見られました。
しかし、彼の真骨頂は、そのストレートを生かす多彩な変化球にあります。
- スプリット: 彼の代名詞であり、「魔球」とも呼ばれた決め球です。
- スライダー: 高速で横に滑るスライダーも一級品でした。
- カットボール・ツーシーム: 近年では、微妙に動くボールも操り、打者の芯を外します。
この強力なストレートと、絶対的な決め球であるスプリットのコンビネーションが、田中将大という投手を特別な存在に押し上げたと言えるでしょう。
彼の投球をテレビで観戦するなら、やはりプロ野球全試合を中継してくれるサービスが最適です。スカパー!プロ野球セットなら、12球団の公式戦を全試合視聴可能。
田中投手が所属する楽天イーグルスの試合はもちろん、セ・パ両リーグの熱戦を余すところなく楽しめます。
実績を反映した年俸の推移を比較
プロ野球選手の実績と評価は、年俸という形で明確に示されます。田中投手のキャリアは、その年俸の推移を見てもいかに凄まじいものであったかが分かります。
年度別年俸の推移
年 | チーム | 年俸 | 備考 |
2007 | 楽天 | 1500万円 | 新人王 |
2009 | 楽天 | 9500万円 | 15勝 |
2011 | 楽天 | 2億円 | 19勝、沢村賞 |
2013 | 楽天 | 4億円 | 24勝0敗、沢村賞 |
2014 | NYY | $22,000,000 | MLB移籍 |
2020 | NYY | $23,000,000 | – |
2021 | 楽天 | 9億円 | NPB復帰 |
2023 | 楽天 | 4億7500万円 | – |
2024 | 楽天 | 2億6000万円 | – |
2025 | 巨人 | 1億6000万円 | – |
このように、日米のトップチームから常に最高級の評価を受け続けてきたことが、年俸の推移から一目瞭然です。これは彼の成績がいかに価値のあるものだったかを客観的に示しています。
全盛期は過ぎた?現在の投球スタイル
「田中将大の全盛期は過ぎたのか」という問いに対しては、「2013年のような圧倒的な支配力という意味でのピークは過ぎた」と考えるのが自然かもしれません。
日本球界復帰後の成績は、かつての1点台の防御率と比較すると変化が見られます。この点を、MLB移籍前の第1期と復帰後の第2期で比較してみましょう。
楽天時代(第1期 vs 第2期)の成績比較
指標 | 第1期 (2007-2013) | 第2期 (2021-2025) |
防御率 (ERA) | 2.30 | 3.73 |
勝利 (W) | 99 | 23 |
敗戦 (L) | 35 | 37 |
試合数 (G) | 175 | 83 |
勝率 (WPCT) | .739 | .383 |
投球回 (IP) | 1315 | 508 |
奪三振 (K) | 1238 | 366 |
奪三振率 (K/9) | 8.47 | 6.48 |
WHIP | 1.11 | 1.22 |
しかし、これは単なる衰えではありません。むしろ、経験を重ねたことによる「投球スタイルの進化」と捉えることができます。
現在の田中投手は、長年の経験で培った投球術を駆使し、打者のタイミングを外したり、バットの芯を外したりするクレバーな投球が持ち味です。若い頃の剛腕スタイルから、円熟味を増した技巧派スタイルへと変化しているのです。
記録で見る田中将大の全盛期の輝き

この記事を通じて、田中将大投手の全盛期がいかに圧倒的であったかを様々な角度から見てきました。最後に、彼の輝かしいキャリアの要点を箇条書きでまとめます。
- 田中将大の全盛期は2011年から2013年にかけての楽天在籍時
- 特に2013年はシーズン24勝0敗という不滅の記録を樹立
- 防御率は2011年と2013年に1.27を記録
- 先発投手の最高栄誉である沢村賞を2度受賞
- 最多勝、最優秀防御率、最多奪三振など数々のタイトルを獲得
- MLB移籍後もヤンキースのエースとして78勝をマーク
- 奪三振率はNPB時代を上回る数字を記録
- 伝家の宝刀スプリットはメジャーの強打者にも通用
- 日米通算200勝という偉大なマイルストーンを達成
- ポストシーズンでの通算成績は日米合計11勝4敗と勝負強い
- 安定したピッチングフォームが長期的な活躍を支えた
- 150km/h超のストレートと多彩な変化球を両立
- 年俸は日米で常にトップクラスの評価を受けてきた
- 現在は経験を活かした技巧派へと投球スタイルが進化
- 球史に名を刻む伝説的な投手の一人であることは間違いない
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