近年、メジャーリーグベースボール(MLB)では投手の投げるボールのスピード、いわゆる球速が著しく向上しています。
ファンであれば、MLBの平均球速の推移や、2025年シーズンにおける全体の平均球速、さらには平均球速における先発とリリーフの違いについて気になる方も多いでしょう。
また、最新の球速ランキングで上位に名を連ねる投手たちの驚異的なパフォーマンスも見逃せません。
この記事では、そうした疑問に答えるべく、最新のデータを基にMLBの平均球速に関する情報を網羅的に解説します。
この記事を読むことで、以下の点が明らかになります。
- MLBにおける近年の平均球速の変化とその背景
- 2025年シーズンの全体および球種別の平均球速
- 球速ランキング上位の注目投手とその特徴
- 今後のMLBにおける球速のトレンドと課題予測
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MLBの平均球速は上昇中?トレンドを解説

- 近年のMLB平均球速の推移
- 2025年現在の平均球速は全体で何マイル?
- 平均球速は先発とリリーフで違う?
- 球種ごとの平均球速一覧
- 日本人投手の平均球速は?
近年のMLB平均球速の推移

近年のMLBでは、テクノロジーの進化とトレーニング理論の発展が投手たちの能力を劇的に押し上げ、平均球速は一貫して上昇傾向にあります。
このトレンドはデータにも明確に表れています。
例えば、2008年頃には約91マイル(約146.5km/h)だった4シームファストボールの平均球速は、MLB公式のデータ解析システムであるStatcastによると、2024年には94マイル(約151.3km/h)を超えるまでになりました。
これは、わずか15年あまりで平均が約3マイル(約4.8km/h)も速くなったことを意味します。
この著しい変化の背景には、複数の要因が複雑に絡み合っています。
最大の要因は、投球フォームのバイオメカニクス解析や、高速度カメラを用いた動作分析が一般化したことです。
これにより、投手は自身の身体をいかに効率的に使ってボールにエネルギーを伝えるか、科学的根拠に基づいて改善できるようになりました。
さらに、「Driveline Baseball」に代表されるようなデータ駆動型のアプローチを取り入れた専門的なトレーニング施設の普及も、このトレンドを加速させています。

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重さの違うボールを投げるなどの先進的な練習方法が取り入れられ、多くの投手が自身の持つ潜在能力を最大限に引き出すことに成功しています。
ただ、この球速向上は投手にとって大きな武器となる一方で、肘や肩といった部位への負担が増大するという無視できないデメリットも指摘されています。
そのため、各球団や選手個人は、最高のパフォーマンスを追求することと、怪我のリスクを管理するという、非常に難しいバランスを取る必要に迫られているのが現状です。
2025年現在の平均球速は全体で何マイル?


2025年シーズンにおけるMLB全体の平均球速は、直近のデータやトレンドを考慮すると、4シームファストボールで約94.2マイル(約151.6km/h)前後。
この数値は、現代MLBのパワーとスピードを象徴するものであり、リーグ全体のレベルの高さです。
もちろん、これはあくまでリーグ全体の平均値であり、個々の投手によって大きな差が存在します。
中には、常時100マイル(約160.9km/h)を超える剛速球を投げるクローザーもいれば、平均球速は90マイル前半でありながら、ボールの回転数、変化球のキレ、そして寸分の狂いもない卓越した制球力を武器に、強打者たちを翻弄するベテラン投手もいます。
球速だけが投手の能力を測る唯一の指標ではないことが理解できます。
しかし、リーグ全体の平均球速が継続して上昇しているという事実は、現代のMLBがよりパワーとスピードを重視する時代にあることを明確に示しているのです。
この進化に対応するため、打者たちも年々速くなるボールを打ち返すためのトレーニングや技術改良を余儀なくされており、投手と打者の攻防はかつてないほどハイレベルな次元で繰り広げられています。



筒香選手がMLBで通用しなかった理由もスピードボールに対応できなったのではないかと考えています。
平均球速は先発とリリーフで違う?


平均球速は、投手の役割、つまり先発投手かリリーフ投手かによって明確な違いが見られます。
結論から言えば、リリーフ投手の方が先発投手よりも平均球速は速い傾向が顕著です。
この差異が生まれる主な理由は、それぞれの役割に求められる投球内容の違いにあります。
先発投手は、試合の序盤からマウンドに上がり、一人で長いイニングを投げ抜くことが期待されます。
そのためには100球以上を投じることも珍しくなく、試合を通してスタミナを維持できるよう、力をセーブしながら投球を組み立てる「ペース配分」が不可欠です。
したがって、全力投球は走者を背負ったピンチの場面や、打者との駆け引きで重要となるカウントなど、勝負どころに限定されることが多くなります。
一方、リリーフ投手は、試合の終盤や僅差の場面といった、1点の失点も許されないようなプレッシャーのかかる状況で登板します。
彼らに求められるのは、1イニングや2イニングといった短い回を、持てる力のすべてを出し切って完璧に抑えることです。
そのため、マウンドに上がった瞬間からエンジン全開で、一球一球に全力を注ぎ込みます。この投球スタイルの違いが、平均球速の差として表れるのです。
具体的には、先発投手の平均球速が93~94マイルであるのに対し、試合を締めくくるクローザーなどのトップリリーフ投手は、平均で96~98マイルを記録することも珍しくありません。
先発・リリーフ別 平均球速比較(4シーム)
役割 | 平均球速 (mph) | 平均球速 (km/h) |
---|---|---|
先発投手 | 約 93.4 mph | 約 150.3 km/h |
リリーフ投手 | 約 94.8 mph | 約 152.6 km/h |
球種ごとの平均球速一覧
MLBの投手は、ただ速いボールを投げるだけではありません。多種多様な変化球を駆使した投球術こそが、彼らが最高峰の舞台で生き残るための鍵となります。
それぞれの球種は、スピード、変化、軌道が大きく異なり、それらを組み合わせることで打者を幻惑します。
以下は、主な球種の平均球速とその特徴、そして代表的な使い手をまとめた表です。
球種名 | 平均球速 (mph) | 平均球速 (km/h) | 特徴 | 主な使い手(例) |
---|---|---|---|---|
4シーム | 約94.2 mph | 約151.6 km/h | 最も基本的な速球。ボールの回転による揚力で、落ちにくく見える。 | ハンター・グリーン |
シンカー | 約93.5 mph | 約150.5 km/h | 利き腕方向に沈みながら変化する速球。ゴロを打たせやすい。 | クレイ・ホームズ |
カッター | 約90.1 mph | 約145.0 km/h | 速球に近い速度で、打者の手元で小さく鋭く曲がる。 | コービン・バーンズ |
スライダー | 約85.5 mph | 約137.6 km/h | 横方向に大きく滑るように曲がる変化球。三振を奪う決め球として多用される。 | ディラン・シース |
スイーパー | 約83.0 mph | 約133.6 km/h | スライダーの一種で、横変化が非常に大きいのが特徴。近年流行している。 | 千賀滉大 |
チェンジアップ | 約86.0 mph | 約138.4 km/h | 速球と同じ腕の振りから遅いボールを投げ、打者のタイミングを外す。 | デビン・ウィリアムズ |
カーブ | 約80.1 mph | 約128.9 km/h | 大きく縦に割れるように曲がり落ちる変化球。緩急をつけるのに有効。 | チャーリー・モートン |
スプリッター | 約87.3 mph | 約140.5 km/h | 人差し指と中指でボールを挟んで投げ、落差の大きい変化が特徴。 | ケビン・ゴースマン |
このように、投手は平均で15マイル以上にもなる球速差を巧みに利用し、打者との高度な心理戦を繰り広げているのです。
日本人投手の平均球速は?


近年、多くの日本人投手がMLBで目覚ましい活躍を見せており、その球速もリーグトップクラスの選手が次々と登場しています。
例えば、ロサンゼルス・ドジャースの山本由伸投手やニューヨーク・メッツの千賀滉大投手は、平均95マイル(約152.9km/h)前後の力強い速球を投げ込みます。
また、サンディエゴ・パドレスのダルビッシュ有投手やトロント・ブルージェイズの菊池雄星投手も、長年にわたりパワフルな速球を武器にメジャーの強打者たちと渡り合っています。
彼らの成功は、日本のプロ野球界全体のレベルの高さを示すと同時に、日本人投手も適切なフィジカル強化やトレーニングを行うことで、MLBのパワーピッチャーと遜色ないボールを投げられることを力強く証明しました。
一方で、シカゴ・カブスの今永昇太投手のように、平均球速は92マイル前後とリーグ平均を下回りながらも、非常に高い回転数によって生み出されるボールの「伸び」や、打者の手元で浮き上がるような軌道、そして抜群の制球力を武器に好成績を収める投手もいます。
これは、絶対的な球速だけでなく、データで計測される「ボールの質」がいかに打者を打ち取る上で重要であるかを示唆する好例です。
日本人投手たちは、パワーと技術、それぞれの持ち味を最大限に活かして、MLBという最高峰の舞台で確かな輝きを放っているのです。
最新のMLB平均球速ランキングと今後の展望


- 2025年版の球速ランキングトップ10
- 4シームの球速ランキング
- スライダーの球速ランキング
- 2025年以降の球速トレンド予測
- まとめ:MLBの平均球速を知る
2025年版の球速ランキングトップ10
2025年シーズンを迎えるにあたり、MLBで最も速いボールを投げる投手は誰なのでしょうか。
直近のデータに基づいた4シームの平均球速ランキングトップ10を紹介します。このランキングは、まさに現代の「豪腕」たちを象徴しています。
順位 | 投手名 | チーム | 平均球速 (mph) |
---|---|---|---|
1 | メイソン・ミラー | アスレチックス | 101.2 |
2 | ジョアン・デュラン | ツインズ | 100.6 |
3 | アブナー・ウリベ | ブルワーズ | 99.6 |
4 | ダニエル・パレンシア | ロッキーズ | 99.6 |
5 | ハンター・グリーン | レッズ | 99.5 |
6 | ジェイコブ・ミシオロウスキー | ブルワーズ | 99.3 |
7 | ライアン・ヘルスリー | カージナルス | 99.3 |
8 | ヴィクター・ヴォドニク | エンゼルス | 98.7 |
9 | メイソン・モンゴメリー | レイズ | 98.7 |
10 | ロバート・スアレス | パドレス | 98.6 |
※上記のデータは提供されたデータベースに基づいています。
このリストを見ると、試合終盤の重要な局面を任される若手のリリーフ投手が上位を独占していることが分かります。
彼らが投じる100マイル超の剛速球は、チームを勝利に導くための絶対的な武器となっています。
4シームの球速ランキング
前述の通り、投手の球速を語る上で最も基本的かつ重要な指標となるのが4シームファストボールです。
ここでは、なぜ4シームの球速がこれほどまでに重視されるのか、その理由を深掘りします。
1位のメイソン・ミラー投手は、平均で101マイルを超えるという、まさに異次元のボールを投げ込みます。
彼の投球は、スピードだけでなく、高い位置から投げ下ろされる角度も相まって、打者にとっては脅威以外の何物でもありません。
2位のジョアン・デュラン投手に至っては、100マイルを超える速球に加え、「スプリンカー」と呼ばれる高速で沈む独自の球種も操り、その破壊力はリーグ屈指です。
ランキング上位に名を連ねる投手たちは、恵まれた体格と優れた身体能力を、科学的なトレーニングによって最大限に活かした投球フォームから、圧倒的なスピードを生み出しています。
現代の野球では、球速に加え、ボールの「回転数」や「回転軸」も非常に重要視されます。
高い回転数を誇る4シームは、重力による落下に逆らう「揚力」が大きく働き、打者の目にはボールが浮き上がってくるかのように見えます。
この「伸びるストレート」は、たとえ球速が同じでも、打者が芯で捉えることを極めて困難にします。
彼らがマウンドに上がると、球場の雰囲気は一変し、ファンは固唾を飲んでその一球一球の行方を見守るのです。
スライダーの球速ランキング
速球(ファストボール)のスピードが向上するのに伴い、変化球、特にスライダーの高速化も著しく進んでいます。
速球とのコンビネーションで打者を打ち取る上で、この高速スライダーは今や不可欠な武器です。
以下は、スライダーの平均球速が速い投手たちのランキングです。
順位 | 投手名 | チーム | 平均球速 (mph) |
---|---|---|---|
1 | ジェイコブ・ミシオロウスキー | ブルワーズ | 94.1 |
2 | ピート・フェアバンクス | レイズ | 94.2 |
3 | タナー・スコット | マーリンズ | 93.7 |
4 | エドワード・カブレラ | マーリンズ | 94.2 |
5 | カルロス・バルガス | Dバックス | 90.3 |
特筆すべきは、ジェイコブ・ミシオロウスキー投手のスライダーで、その平均球速は94.1マイルにも達します。
これは、他の多くの投手の速球に匹敵する、あるいはそれ以上のスピードです。
このような高速スライダーは「パワースライダー」とも呼ばれ、打者にとっては悪夢のようなボールです。
なぜなら、打者は速球だと思ってバットを振り始めますが、ボールは打者の手元で鋭く、そして速く変化するため、対応が非常に困難になるからです。
95マイルを超える速球と、それに近い球速で鋭く曲がる変化球。
この組み合わせは、打者の反応時間を極限まで奪い、現代野球における最も効果的な攻め方の一つとして確立されています。
2025年以降の球速トレンド予測


2025年以降も、MLBにおける平均球速は、短期的には上昇を続ける可能性が高いと考えられます。
その主な理由として、データ解析技術のさらなる進化と、科学的トレーニング手法の低年齢層への浸透が挙げられます。
テクノロジーの進化とトレーニングの科学化
トラックマンやホークアイといった高性能な弾道測定器が、今やメジャーリーグの球場だけでなく、マイナーリーグや大学、さらには高校レベルでも導入されつつあります。
若い世代の選手たちが早い段階から自身の投球に関する詳細なデータに触れ、それを基にした効率的なトレーニングを積むことで、ポテンシャルを最大限に引き出した状態でプロの世界に入ってくるでしょう。
これにより、リーグ全体のレベルがさらに底上げされると考えられます。
身体能力の限界と健康管理の重要性


一方で、人間の身体能力には限界があり、平均球速が無限に上がり続けるわけではありません。
むしろ、多くの専門家は、近いうちにその上昇トレンドは頭打ちになるのではないかと予測しています。
また、球速の過度な追求は、投手への身体的負担、特に肘や肩への負荷を著しく増大させます。
近年、トミー・ジョン手術(肘の靱帯再建手術)を受ける投手の数が増加していることは、この問題を象徴しています。
このため、将来的には、ただ速いボールを投げられる能力だけでなく、いかに健康な状態でシーズンを通して安定したパフォーマンスを発揮できるかという「耐久性」や「稼働率」が、投手を評価する上でこれまで以上に重要な指標となるはずです。
各球団は、選手のパフォーマンスを最大化すると同時に、貴重な資産である選手を怪我から守るため、スポーツ科学や医療分野への投資をさらに強化していくことが予想されます。
まとめ:MLBの平均球速を知る


この記事では、MLBの平均球速に関する様々なデータやトレンドを解説しました。最後に、本記事の要点をまとめます。
- MLBの4シーム平均球速は年々上昇傾向にある
- 2025年現在の平均球速は約94.2マイル前後
- リリーフ投手は先発投手より平均球速が速い
- 球速が上がる背景には技術革新とトレーニングの科学化がある
- 球速向上は怪我のリスク増という側面も持つ
- 4シーム以外にも多種多様な球種が存在する
- 日本人投手もMLBトップクラスの球速を誇る選手がいる
- 球速だけでなくボールの質や制球力も投手の重要な能力
- メイソン・ミラーは平均101マイルを超える驚異の投手
- 高速スライダーも現代野球の大きな武器となっている
- 今後もMLBの平均球速は上昇トレンドが続くと予測される
- 選手の健康管理と耐久性が今後の課題となる
- 投手と打者のハイレベルな攻防がMLBの魅力
- 球速データを知ることで野球観戦がより楽しくなる
- 公式サイトなどで最新のデータを確認できる
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